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【2018年】北欧のスタートアップに学ぶビジネスモデル【起業】

何事にも国民性ってあるよね。

 

はろー、yukiです。

 

これまでのスタートアップ企業を取り上げる記事は、アメリカのみを対象としていました。

しかし、今回は、他の国にもスポットを当ててみたいと思います(2018年のアメリカ版はこちら)。

 

先進国――。その言葉の定義は「政治・経済・文化などが国際水準からみて進んでいる国」(デジタル大辞泉)とされています。その反対にあるのが発展途上国で、英語でDeveloping Countryと訳されます。

では先進国って、具体的にどこでしょうか。

 

G20の場合、構成国は次の通りです。

日本をはじめ、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、英国、米国。そこに、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、中国、インド、インドネシア、韓国、メキシコ、ロシア、サウジアラビア南アフリカ、トルコ、欧州連合欧州中央銀行が加わります(参考はこちら)。

 

気づくのは北欧諸国が一つも入っていないということです。北欧は十分に先進国ですよね。

ということで、今回は北欧から一国を選びました。また、北欧にほど近い、旧ソビエトの一国も取り上げます。

 

 

デンマーク:高福祉高負担国家

首都はコペンハーゲン

レゴが有名ですよね。主な輸出品目としては、医薬品や豚肉があります。

 

医薬品に関しては、日本にデンマーク3大製薬会社が進出しています。

ノボ・ノルディスク(糖尿病)、ルンドベック(アルコール、うつ)、レオ・ファーマ(皮膚領域)。   

 

個人的には、医薬品は家庭環境がある程度裕福であるだろうし、豚肉(農業)に至っては土地などの資本は世襲ですよね。つまり、新規性はないということです。

そういった状況は日本を含め、どこの国でもあることですが、興味があるのはどういった新規ビジネスが伸びているかということです。

3社を取り上げますので、順番にみていきましょう。

 

Pleo

Pleoは経費の精算処理を自動化するプラットフォームを提供するスタートアップ。

すでに1000以上もの企業で導入済みで、従業員の支出を管理するSME(Small _Medium-size Enterprise:中小企業)に多く利用されている。

創業者はNiccolo PerraとJeppe Rindomで、従業員や管理職、CFOと幅広く経験している。 

2015年に設立された。ロンドンにもオフィスがある。

 

【サービス】

同社が発行するカード(プリペイド)により、従業員の支払いを統一させる。

カード(現物ならプラスチック、オンラインなら仮想)は全ての従業員に配布され、各従業員が使用した分はリアルタイムで確認できる。

当然、使い過ぎ予防のために金額制限を設けることもでき、レシート(領収書)の科目を揃えることも容易にできる。

1ヶ月の無料体験の後は、月額7ポンド。

 

【考察】

経理や財務は企業に必須の部署の一つで、利益を出したり税金の支払いを抑えたりする役割がある。

日本の場合、年末調整や期末のシーズンに多忙となり、会計ソフトや税理士などを頼りにして処理が進められる。

同社のサービスでは、支払う方法と購入した品目の分類を全て統一させることができるため、財務処理の手間がかなり軽くなる。

また、このサービスなら精算処理をペーパーレスで実現できる。

プリペイドカードを作成し、導入を広められるかがポイント(僕も現金よりもプリペイドやクレジットのカード類で支払う機会が増えたが、そういったことはあくまでも個人の使用に限られている)。

 

Rfrsh

https://www.rfrsh.net/

Rfrshはeスポーツ(エレクトロニック・スポーツ:ゲームによるスポーツ競技)のマーケティングとメディア権利を取り扱うスタートアップ。 

eスポーツチームのブランド化をはじめ、スポンサーシップやマーケティング契約のサポートを行う。

現在は、AstralisHeroicGodsentの3チームをマネジメントしている。

 

ミッションは『deliver the greatest moments in esports - for the fans, the players and the brands』。

 

【サービス】

プロ選手になるためのトレーニングの提供と、選手・チームブランドのサポートを行う。

トレーニングでは、競争力と精神回復力、スタミナ、チームワークを身に付けさせ、さらに栄養管理や身体そのものの鍛錬も行う。

ブランドサポートでは、ファン(ないしサポーター)との契約に際し、権利、コンテンツ、ブランドのアシストを行い、観客との接点をフォローする。

 

【考察】

すでにマネジメントをしている3チームのWebサイトを見れば分かるように、デザインや構成がほとんど同じ。

球技等のアスリートは各企業の広告塔として雇われ、多額の練習費用を支出されるのに対し、eスポーツはゲーム環境が整っていれば良いので、費用はそれほどかからない。

それにもかかわらず、ゲーム大会の賞金は多額で、ゲーム人口も多い。非常にパフォーマスに優れた競技の一つだ。

今後、ゲーマーが企業の広告塔になる機会も増えるだろう。そういった際に備え、選手を確保しておくという先見性のあるビジネス。

※長時間座り続けても疲れない椅子や姿勢が崩れにくい衣服など、ゲーマーだけでなくオフィスワーカーにもアピールできる商材は多い。

 

Tattoodo

タトゥーのデザインを共有したい人を対象としたソーシャルメディアを運営するスタートアップ。

現在(2017年12月)、15億の閲覧数、2000万人のユーザ、34万6000のアップロード数、4万1000人のアーティスト数を記録している。

創業者はJohan PlengeとMik Thobo-Carlsen

 

【サービス】

タトゥーに関する情報をはじめ、アーティストの特集、タトゥーを入れられるスタジオ、様々なデザインなどが紹介されている。

サービスの利用はWebサイトのほか、AndroidiOS向けにアプリも提供されている。

 

【考察】

ファッションに関するメディアは数多いが、タトゥーに絞っているのが着目点となる。

Japaneseという分類で、日本風デザインのタトゥーも紹介されていた。日本だと入れ墨として認識されており、必ずしも良いイメージはない。ピアスにも抵抗感のある人も少なくなく、ファッションの国民性が顕著に感じられるビジネスだと思う。

また、特定ジャンルにおけるソーシャルメディアの誕生が今度、楽しみでもある。

※日本の場合、サブカルチャー(アニメ専門など)がヒットすると思う。

 

 

エストニア:IT立国

首都はタリン。

IT立国というだけあり、行政では電子政府、電子IDカードが実用され、ネット・バンキングも普及しています。

また、個人情報の閲覧、選挙投票、確定申告、会社設立に加え、世界で唯一インターネット上で国政選挙が行える点、電子居住権制度の導入も有名です。

 

そうしたITが社会の動きの中心に位置する国だからこそ、エストニアのスタートアップにはITの先進的な取り組みがみえます。

例えば、AIやブロックチェーンP2P(peer-to-peer:端末間通信)。AIは周知されていると思いますが、ブロックチェーンは暗号通貨の仕組みに利用され、P2Pファイル共有ソフトなどに使われています。

P2Pはサーバを介せずに利用者間の通信を実現しますので、アクセス集中による遅延なども避けられるメリットがあります。

P2P技術を利用したサービスを展開する日本企業の例:Skeed

 

他にも、最近の日本でなじみつつあるクラウドファンディングノマドワーカーを対象としたビジネスがあったり、CRMCustomer Relationship Management:顧客管理)プラットフォームやワークフロー・タスク自動化を実現するサービスがあったりと様々です。

3社を取り上げますので、順番にみていきましょう。

 

Weps

WepsはAIのチャットボットを使用したWebサイト開発サービスを提供するスタートアップ。

ユーザはAIが尋ねるyes/noの質問に答えた後、コーディングすることなくドラッグアンドドロップでWebサイトを構築できる。

創業者はJorma JürisaarとJuhan Kaarma、Taavid Mikomägiの3人で、2015年に設立された。

 

【サービス】

作成されるWebサイトはSEO対策がされており、モバイルファーストに対応している。

デザインも最新のものを選べ、モバイル端末から編集が可能。

作成したWebサイトはWepsが管理する(AWS環境)。ドメインは35.156.29.115に紐付ける(ドメインを取得したプロバイダーに要連絡)。

1ヶ月の無料体験版の後、年間契約(83.88ポンド)か月額9.99ポンドのどちらかを選択する。

 

【考察】

AIを使用している点が特徴だが、yes/noで内容が判断されるので、一般的に想像されるようなAIとは少し異なる(形式はチャットボットだが、チャットはしていないのでその点も微妙)。

ただし、デザイン性に優れ、レスポンシブなWebサイトがすぐに作成される点は利用価値が高い。

Wepsを使えば、年間1万3000円(2017年12月現在)でWebサイトを作れ、管理もしてくれる。

つまり、ドメイン取得のフォローをすれば、擬似的にWeb制作者になれる。

ただし、作成できるWebサイトはワンロール型に限られているので、会社や商品紹介が目的の場合にしか活用しづらい面もある。

Webサイトのみを制作する企業にとっては脅威となる存在のはしりだと思う。

※Webサイトを作成するのに、少なくともHTML、CSSjavascriptを習得しなければいけないのは、すでに高コストになりつつある。

 

Lingvist

Lingvistは新言語を習得するユーザにAIプラットフォームを使用しているスタートアップ。

学べる言語は、ドイツ語、スペイン語、フランス語、ロシア語、そしてエストニア語。

ただし、日本語版は英語に限られ、TOEICTOEFL、英語基礎の3コースが提供されている。

創業者はAndres Koernと Mait Muntel、 Ott Jalakas、Tanel Hiirの4人で、2013年に設立された。

出資者の中にはJaan Tallinn(Skypeの元開発者)や楽天がいる。

 

【サービス】

日本向けにアレンジされており、楽天が仲介としてあるため、楽天IDの作成を求められる。

例えば、Webサイトの言語設定をEnglishに設定しても、楽天IDの作成を求められる(そしてRegisterをクリックすれば、開かれるポップアップウィンドウは全て日本語)。

 

学習の内容は、日常会話やビジネスシーンの例文を題材にし、問題の合否に合わせてコース内容が自動的に再構成される。

実用的で、科学(脳)に基づき、ユーザに合わせた学習を提供するというのがアピールポイント。

 

【考察】

学習のデモがないため、実際にAIプラットフォームがどのように使用されているかが分からない。

しかし、すでに940万ポンドの資金調達を終えていることから、投資家からの期待値は大きい。

言語学習と言えばDuolingoが圧倒的に有名だと思うが、Duolingoの特徴は楽しみながら学べるという経験の創出とサービスの無料提供、そして多様な学習言語にある。

同社の場合はおそらく、AIが教育に使われている点が投資材料になっており、実際のユーザによる使用感が利益に結びついているとは考えにくい(そもそも他社IDの作成が不可欠な点で入口が狭い)。

AIの技術をさらに他方面へも伸ばし、「○○×AI」の事業を売るやり方の方が大きな利益を生むだろう。

 

LeapIN

LeapINはエストニアのe-Residency(電子居住権)に基づき、ユーザのマイクロビジネスを支えるフィンテックのスタートアップ。

ビジネスを始める際、銀行口座の開設に居住地が必要となるが、エストニアではe-Residencyがあるため、居住地に囚われる必要がない。

特に個人でマイクロビジネス(零細事業)を行うユーザに向け、同社は銀行業務と支払いサービスを提供する。

創業者はAvo AlenderとErik Mell、Erko Hansar、Urmo Pärgの4人で、2015年に設立された。

 

【サービス】

会社設立登録、銀行口座開設、支払いカード作成、経理、税務処理、コンプライアンスのサポート。

手続きにかかる書類作成や役所とのやり取りを引き受けてくれる。

月額49ポンドから始められる。

 

【考察】

例えば、EUでビジネスを展開したい時、エストニアで電子居住権を取得し、法人登録と銀行口座開設を計画する。また、利益を生み出した後、税金の支払いをエストニアにしなければならない。

そうした内容を一挙に引き受け、サポートするのが同社の事業だ。

EUでビジネスをする際、利益を上げれば当然課税され、より利益を上げたければ現地企業と提携を組んだり代理店契約を行うだろう。それらに係る時間や金銭的なコストを負担するか。 

負担したくないなら、当然支社(ないし拠点)をEUに設けることを考える。だが、EU域内におけるそれらの手続きは煩雑で、挙句外部へ委託することになる。

現実的な難しさがこの時点でも見えてくる。

同社はエストニア特有の制度を活かし、ユーザのEUでの事業を行いやすくしている(そしてEUにパートナーがいなければ同社のサービスを利用した方が楽)。

 

 

総括

今回取り上げたデンマークエストニアのスタートアップは、国民性が感じられるものが多かったです。

タトゥー文化を活かしたTattoodoや、e-Residency制度を活用したLeapINなど。

必ずしも最先端の技術や流行に乗らなくても、ビジネスは十分に成立することを思わせてくれます。

 

日本でも昔ながらの職人(木工や織物、和紙などの様々な工芸品)は個人で営んでいることが多く、そういった方々の販売窓口になり、海外の愛好家へ向けて物や情報、体験サービスを提供するというのが国柄を活かしたビジネスになりそうですね。

職人は全国各地にいるので、すごく地道な作業になりそうですが。あと、工芸品は量を多く作ることが難しいので(かといって単価もやたらと上げられず)、利益を出すのが大変。

※販売チームとメディアチームを作り、メディアチームは全国各地に取材へ行って売れそうな工芸品を販売チームに知らせる。販売チームは売る傍ら、愛好家から需要をヒアリングしてメディアチームへ調査を依頼する。そうした2チームの情報共有がしっかりとなされればうまくいくかな(それでも現実は難しいだろう)。

 

海外の情報を調べると、住みたくなったり働きたくなったりすることはありませんが、関心がかなり高まりますね。

余裕があれば他の国も調べてみようと思います。

 

 

以上。