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地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減 / 増田 寛也(中公新書, 2014.8)を読んだ。

女性の活用、何段活用なのってくらい多くない?

 

はろー、yukiです。

以前書いた読書ブログの中に登場する「田中レポート」とは、今回取り上げる本書のことでしょう。

「田中レポート」こと本書では、人口動態を軸として地方市町村の現状と課題、打開策を述べています。

 

その中でキーとして挙げられているのが、「若い女性」の存在。

年齢で言えば、かつて出産ピーク年齢だった25-29歳や現在の出産年齢で多い30歳代前半、あるいは進学や就職と同時に地方から都市にやって来る20歳前後。

つまり20-30歳の女性ですね。

 

本書では都市の高齢化についても触れられており、女性の出産や夫婦世帯の育児の難しさ述べられています。

また地方消滅は、地方での若い女性の減少が問題であるとしています。

人口の自然増には女性の出産が必要ですから、都市での出産・育児にかかる負担や地方での生活そのものが、喫緊の改善すべき課題というわけです。

 

さて、出産による人口増となると出生率を考えなければいけませんが、著者は人口が安定して維持されるには2.1は必要だと提唱しています。

そのために、独身の年収は300万円以上で、夫婦だと合わせて500万円以上あれば、安定して結婚・子育てが可能だとしています。

正社員ではさほど難しいことではありませんが、非正規や残業代も支払われないブラック企業にある場合、上記は難しいでしょう。

また、上記の年収があれば一般的な家庭を築けるとされているあたり、昨今の配偶者に求める年収ベースを大きく下回っている現状と比べると、大きなズレがあるように見受けられます。

 

若くても年老いても、少し余分にお金を持っていないと不安でしょうから、最低限を示しても、実際はそれよりも上回ったところを求めている声が多い。

これもまた国民の声ですよね(解決するのは個人レベルになりますが)。

 

そして、本書で示されている地域再興のモデルは6つ挙げられています。

工場や大規模商業施設などを誘致(もしくは元々立地されている)することにより、財政基盤の安定化を図り、住環境整備を進め、人口流入を実現させているモデルを産業誘致型と呼ぶ。

大企業傘下の工場を呼び込んでいる地方って、ままありますよね。

 

大都市や地方中核都市の近郊に位置することを活かして、住環境整備を重点的に進め、定住人口を増加させているのがベッドタウン型である。

会社までの通勤時間が電車で1時間とか、そういう地域。

 

大学や高等専門学校、公設・私設研究機関を集積させることにより、若年人口の継続的な流入を実現し、ローカル経済を持続させているモデルが学園都市型である。 

これは良いですよね。最新の研究がされている地域に生まれ育ち、そのままその地域の研究をしているところへ進学する。

思い入れも強いでしょうから、研究意欲も増しますし、何より通時的な研究ができれば、事例研究としては良質なものになると思います。

 

将来の人口減少を見据えて、従来の街の機能を中心地に集約することで、ローカル経済圏としての効率化を目指している コンパクトシティ型と呼ぶモデルである。

都市などにある便利なものや魅力的なものを取り入れて形成される街。

 

国家プロジェクト規模の大規模施設の立地を契機として、地域のあり方を作り変え、財政基盤を安定させることで、人口減を防ぐモデルが公共財主導型である。 

練りに練られたプロジェクトを実施する場所として選ばれ、その試行錯誤の中で生活が変わっていく。プロジェクトの成果によって徐々に良質な街にされていくあたり、「学園都市型」に通ずるところがありますね。 

 

地域の特質ある資源を活かした産業振興を実現し、雇用の拡大や住民の定着を実現している「産業開発型」モデルである。 

国などの外部からわざわざ呼びこまなくても、その土地には昔から豊富な資源があるので、それを十二分に活かした街づくりをしよう、というのがこれ。

このモデルは、地元愛の強い方々が集まればこそ、成功に近づくのではないかなぁ。

あと、若い人はアイデアをたくさん持っているし、視点も様々ですから、中高齢者が当たり前としていたものが見直され、新たにブランティングされる、というのも面白いですよね。

それによって生まれたものは、地域の宝になるでしょうから、より地域愛が深まるという。

 

 

皆さんの地元は、上記6つのモデルのうち、どれに近いでしょうか。

著者いわく、地方消滅の状況下にある市町村はすでにあり、まだその前段階にあるならば、より早い対策が必要とのこと。

 

僕は"日本"を考える時、意識せずに"東京"を思い浮かべている時があります。インターネットで話題になることも、東京でのことが比較的多いですよね。

でも、ローカルメディアがあるように、地方にも東京とは違った面白味があるわけで、そこにフォーカスし、どれだけの人を引き付けられるかは若者の仕事かなー(インターネットビジネスなんて中高齢者には荷が重すぎると思う)。

 

ということで、社会問題が多い世の中ですが、最後に僕が印象に残った著者の言葉を引用して終わります。

根拠なき「楽観論」は危険である一方、「悲観論」は益にならない。 

何事も分析したくなりますが、その前にきちんとデータ資料を用意しないと良くないですよね。

 

今回紹介した本はこちら。

 

以上。