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雪ん子パースペクティヴ

読むとちょっとタメになるエントリー。

ヤンキーの虎 / 藤野 英人(東洋経済, 2016.4)を読んだ。

車輪の再開発...?

 

はろー、yukiです。

今回は、知り合いの方にお勧めいただいた書籍を読んだので、感想を書きます。

 

その本がこちらです。

 

地方経済の有力者を取り上げ、「ヤンキーの虎」とラベリングした上で、彼らに見られる特徴や現状、そして将来の行く末が述べられています。

 

序章を除き、全5章からなるビジネス本ですね。

文字も大きく、行間も広いので読んでいて疲れませんし、総ページ数192と200を下回っているあたり、すぐに読んでしまえます。

 

個人的には、この手の本は読まない傾向にある僕です。

こういった専門用語が生まれる背景には、事実・データの帰納法的解釈が用いられることがあります。

僕にとって、社会というものは具体ですので、そういった解釈によって社会が抽象化されるのはあまり好きではないということです。

(最近だと肉食系・草食系が流行っていましたが、それらは結局、自然な恋愛スタンスを強引に分類しただけでした)

 

今回の「ヤンキーの虎」もその傾向にあると思います。

著書の中では、そうした言葉が生まれる背景について次のように述べられています(「マイルドヤンキー」という言葉が生まれたことについて触れながら)。

今まで存在していたものを可視化したという点です。都会に住む人たちに、彼らの実態や志向を気付かせたという点なのです。これには大きな意味があったと思います。

 

これはその通りで、今まで○○みたいな人、と言っていたのを□□と名詞で表現できるようにしたことは評価されるでしょう。

ただ、その名詞を用いて、人を判断する場合を考えたい。

「ヤンキーの虎」のキーワードを著者は3つ挙げています。

「事業意欲」「仲間意識」「スポーティ」です。

 

上記の3本軸を用いて地域に住まう経営者を判断する際、演繹的に「ヤンキーの虎」であるか否かを見分けることができるでしょうか。

3本軸をかみ砕くと次のようになります。

◆「事業意欲」・・・成功する事業にこだわるコングロマリットな経営。

「仲間意識」・・・地元での人間関係が基盤。

「スポーティ」・・・健康志向で運動に積極的。

 

「ヤンキーの虎」はこれらを有していると述べられていますが、これらを有しているものが「ヤンキーの虎」とは必ずしも言えませんよね。

 

また、「ヤンキーの虎」の特性を次の3点としています。

一つは若さです。ヤンキーの虎たちの多くは30~50代と、比較的若い。

 

二つめは、チャレンジ精神です。彼らには、新しいことにチャレンジしようとする貪欲さがあります。

 

三つめは、情報収集に積極的であることです。

 

上記、「若さ」「チャレンジ精神」「情報収集能力」はキーワードと同様に、その特徴を有しているからと言って「ヤンキーの虎」と言えるでしょうか。

 

僕が本書を批判するなら、下記の2点になります。

1. 造語せず、分析にとどまるべき

2. 「ヤンキーの虎」を置き去りにした5章が蛇足

 

そして、評価するのは次の3点。

1. 地方経営者の戦略(多角的経営)を紹介した

2. ファーストグループ、丸和運輸機関、コシダカの事例を紹介した

3. 地方に主眼置き、日本経済について述べた

 

特に、1が良かったです。

地方経営者のコングロマリットな手法は、シリアル・アントレプレナーを彷彿とさせました。

つまり、「事業意欲」です。

もっとも、書に登場する地方経営者は、事業の失敗後、速やかに手を引きますが、シリアル―の場合は成功とともに企業を離れて新たな起業に向かいます。

(もちろん、シリアルも事業失敗で手を引きます)

 

東京で成功したビジネスやメディアで紹介されるサービスを、地方で再現しようとしても失敗するでしょう。

なぜなら、それらは起業家が絶対に成功するという希望に満ちており、市場ニーズについてはあまり深く考えられない場合があるからです(このことはアントレプレナー論に書かれていること)。

一方で書では、地方経営者は市場ニーズに基づき、煌びやかではないにしろ、成功する(収益の上がる)可能性の高い事業を開始する。

 

仕事では成功の積み重ねが重視されますが、地方経営者の会社経営はそれに通ずるものを感じました。

それから、本書のテーマにある「地方創生」。

地方と言えば、余った土地がキーだと思いますので、そのあたりの本も読み進めてみたいと思いました。

 

今回紹介した本はこちら。

 

 

以上。